女性支援新法から考える地域の居場所

 

 2019年国民生活基礎調査結果のデータによると、20~64歳のひとり暮らし女性の3人に1人、さらに65歳以上のひとり暮らし女性は2人に1人が貧困状態であることが記されています。女性の貧困は大きな課題となっています。しかし女性の悩みを受け止める制度は、65年前の売春防止法しかなく、2019年神奈川県議会では、困難な女性を支援するための新法の策定を求めた意見書を提出しています。その後、2022年5月に「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が議員立法で成立し、2024年までに都道府県では基本計画を策定、市町村は努力義務になっています。

 この新法は、民間団体との協働による支援が第13条にあり、行政と民間団体とがそれぞれの自主性を尊重しつつ、支援を必要としている人を中心に支援のあり方を検討することとなっています。12月24日国立市で、女性が孤立しない地域づくりのシンポジウムが開催され、女性支援を行っているNPOくにたち夢ファーム理事の遠藤良子さんの活動報告と当事者の女性からの話がありました。離婚、DV、虐待、病気、親との死別など原因は違っても、困難を抱え、自分らしく生きることが出来ず、遠藤さんと出会ったことで、今を生きることができるようになったと、一同話されていました。原因は多様でありながら、女性の人権が蔑ろにされてきた現状が女性の貧困を生んでいます。

 行政にしか出来ない支援もありますが、民間だからこそ出来るサポートもたくさんあります。女性の人権を守る新法をどのように活用し、なかなか表面化しない女性の貧困を表面化させていくのか、大きな政治課題です。約3年続いているコロナ感染拡大防止により、雇い止めやシフト時間減などにより収入が減少している多くの女性が、地域のなかでホッと息のつける場所を求めています。ネット宮前でも、事務所を活用してみやまえカフェを週2回開催しています。ちょっと立ち寄り、おしゃべりできる場所になっています。女性だから、男性だから。という括りではなく、差別なく暮らすことができる社会にするために、地域から出来ることを多くの参加とともに広げていきたいと考えています。