新たな冷戦を作らせない!台湾有事を北東アジアの平和構築から考える

6月25日夜、ピースデポの湯浅一郎さんを講師に「台湾有事を北東アジアの平和構築から考える」学習会を開催しました。

そもそも、4月16日、菅首相とアメリカ新バイデン大統領との「新たな時代における日米グローバルパートナーシップ」共同声明のなかに、「自由で開かれたインド太平洋を形作る」として、軍事力強化の合意を羅列したことに発します。この声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と盛り込まれました。日本は、日中国交正常化の際、台湾を含め一つの中国として認識することを表明しています。しかし、今回の共同声明では台湾の存在を認めてしまい、これでは、今後の日中関係にも影響してくる大きなミスをしていることにも気付かされました。

中国の経済成長から、2027年にはアメリカを超え、中国が軍事費を計上すると予測され、「台湾有事」がにわかに現実身を帯びているようですが、武力による力で押さえつけることは国際社会が許すことはなく、新たな冷戦構造を作ろうとしている意図が見え隠れしています。同時に、専守防衛を超える既成事実を次々に作ってる日本の動きについても、米国に応えると言いながら、砲艦外交を進めていると言わざるを得ません。

湯浅さんは、軍事力による安全保障ジレンマに陥ってはならないと強く仰いました。軍事力を強化することは互いの不信を高めるだけであり、共通の安全保障を構築するきっかけの芽も無くしてしまいます。冷戦時代を終結させ、平和構築に動いた欧州安全保障協力機構のような協力体がアジアにも必要です。そのためにも、朝鮮戦争の終結、北朝鮮の非核化へと動き出さなければいけません。トランプ前大統領との米朝共同声明で非核化を宣言し、朝鮮半島に対する安全の保障を約束したことは、現バイデン大統領も引き継ぐことを明らかにしています。この宣言を活かし、北東アジアの平和構想を進めることの世論をつくることが望まれます。

川崎市では、韓国・朝鮮にルーツを持つ人に向けたヘイトスピーチや、県の朝鮮学校の補助金停止など、韓国朝鮮に対する市民の理解のない行為に対して、地域から朝鮮戦争が終わっていないことから起こっている矛盾を伝え、ともにアジア地域の平和を作る世論を大きくすることが求められています。韓国では、朝鮮戦争を終わらせる運動が起こり、朝鮮半島平和宣言をつくるアクションが始まっていることも知りました。いま、地域から平和を考える大切な時期になっていることを強く感じた学習会でした。