多様な学びを支える社会に

 10月に文科省が「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果を発表し、神奈川県教育委員会も県内状況を公表しました。教育機会確保法が2017年に施行され、不登校は誰にでも起こりえることで問題行動ではない。と定義されました。このことを明確にするために、調査名を「問題行動等調査」から「問題行動・不登校等調査」に変更したとしています。一歩前進と捉えますが、そもそも併記することに違和感があります。このことは、今後も教育委員会に検討を求めていきたいと考えます。

 調査結果から、今年も学校以外で学ぶ児童生徒数が増加しました。出現率では、小学校では初めて1%を超え、小・中学校の合計でも、初めて2%を超え、県内14148人となっています。学校以外に通っている場所として、教育支援センターには1237人、民間団体・施設では734人とのことです。学校に登校させることに拘らず、多機関・施設と連携しながら、子どもの自立を支援しながら、個々にあった居場所を確保することが、これからもっと必要になると考えます。県の報告書にも、「フリースクールをはじめとした関係機関等とこれまで以上に連絡を密にとり、不登校の児童・生徒の学校外での多様な学習活動を「出席扱い」と認めるなど、積極的に評価していくことが必要です。」と書かれています。学校に行かないことで、将来の夢や希望を失わせてはなりません。多様な学びの機会を作ることは社会的自立に向けての重要な支援です。多様な学びの場の創出と継続支援について、今後検討を進める課題です。

神奈川県教育委員会調査結果概要資料から

  今回の報告書には、スクールカウンセラー(SC)やスクーソーシャルワーカー(SSW)の実績数もありました。SCの年間活動日数の最多は年間69日~35日、SSWに至っては年間41日~1日が最多となっています。教師の多忙化が問題となっています。子どもの声に寄り添った支援や場所を探すには、SCやSSWの活用をもっとするべきと考えます。親の不安も受け止める場所を多様に用意することも必要なことです。

 川崎市には、子どもの居場所「夢パーク」があり、そこにはフリースクール「えん」もあります。学校だけでは学べない社会のしくみが学べる取組みも活発に行われています。「ケガと弁当は自分もち」を心得ている子どもの動きから勇気ももらいます。どこにでも、安心して通える場所がある地域づくり、そして多様な学びを社会で支えるための提案を進めていきます。