農薬散布による健康被害をなくしたい~12月委員会報告~
1990年代に登場した殺虫剤農薬であるネオニコチノイド系農薬は、蜂の大量死の原因とも言われ、生態系への影響が懸念され、人体の神経発達障害との関連を指摘する声もあり、海外では規制強化の動きが見られます。しかし日本では市販されている殺虫剤にも使用されるほど広範囲で使用され、農薬取締法にも登録され続けています。
県の施設でも散布されている事例があり、健康被害を訴える声が寄せられ、「神奈川県農薬安全使用指導指針」を所管しする、環境農政常任委員会で質問しました。
県としては、散布と健康被害の直接の因果関係が証明されていないことから、薬剤散布を中止させることは出来ず、有機リン系農薬より被害は低減されているとの認識でした。EU諸国では予防原則が優先され、因果関係が証明されなくても規制されています。しかし、未だに日本では予防原則の議論にはならず、被害を受ける市民の声は無きものになっています。
神奈川県農薬安全使用指導指針には、住宅地等における農薬使用についても書かれており、健康被害を及ぼすことがないよう配慮する事項があります。健康被害を訴える市民からは「配慮とは何を指すのか。」と率直な声も届いています。外出もできず、起き上がることも出来ない日がある以上、すぐに使用を規制することはできないとしても、この指針の庁内への徹底は必要不可欠です。しかし当局としては、指針の内容の改正等がないことから、すでに周知徹底はできている。指針どおりに出来ていない部署があるのは、施設を管理している部署の問題としています。また、各施設で使用している農薬の種類については、指針通り使用していると判断しているので、当局として把握をしていないことも明らかになりました。周知については、年に1度、60人ほどの参加で行われている研修会への参加の更なる呼びかけと、健康被害についても情報を共有してほしいと要望しました。
また健康被害の疑いがある市民へは相談窓口を紹介することになっていますが、どこに相談窓口があるのか、HPにもどこにも記載がありません。散布する際、周辺市民への周知チラシに掲載するなどの対応が必要であると指摘しました。
農薬散布の化学物質による健康被害を訴えても、保健所などでは、農薬のことだから所管がちがう。と言われ、農薬を所管する当局も、健康被害は所管が違う。と言います。たらい回し、行政の縦割りであり、被害を受けている市民の立場に立った対応が必要です。さらに、国の農薬取締法の動きを注視しながら、県施設等においての農薬散布については、予防原則の視点を導入することも合わせ要望しました。